君がいた町
それからもそんな日々が何日か続いて、気が付けば私に話しかける人は居なくなった。
このほうがずっと楽だ。
寂しいなんて思わない。
―1人にして欲しかった
「自分、無口やなぁ。東京の人間ってみんなそんなんなん?」
唯一、隣の席の西尾くんはいまだに時々話し掛けてくる。
坊主頭で、ちょっと筋肉質な彼は、笑うと凄く優しい顔をする。
「…こっちの人がよく話すだけだよ」
「ははっそれもあるやろな~」
時々そんな会話をするのが、ちょっとだけ楽しかった。