君がいた町
「だって、明らかにまだ七海も凌もお互いのこと好きそうに見えるねんけど。」
真也の言葉が胸に刺さった。
「凌に聞いても何にも言わへんし…実際どーなん?」
真也の目は、からかうとかそんなのじゃなくて、ただ真剣に、私たちを心配してくれてる目だった。
真也に出会ったあの日から、私は真也のこの目に嘘をつけない。
「確かに凌のことまだ好きだよ。」
でもね…
「でも、私には凌より好きな人がいるの。」
恐かった。
真也が好きなんて言ってないのに、告白したみたいな気持ちになった。