世界は美しい…うん、きっと
「ここはな…」

「へ?」

「この場所は俺にとって大切な場所なんだ」

そう、タイセツな…

「あ、佐原君、ジャングルジムありますよっ!」

「おっ。じゃぁそこで話すか」

俺たちはジャングルジムに上った。

景色は相も変わらず綺麗だった。

俺にとって心が安らぐ唯一の場所。

あの子があの日…消えた時。

訳もわからずただ走って走ってたどり着いたのが

―この場所―だった。

「綺麗ですね」

ボソっとそう吐く尾田。

「あぁ。変わらないずな」

尾田はニコっとこっちを見て俺に笑顔を見せた。

―ドキン―

一瞬あの子と重なった。
尾田はあの子じゃないのに。

胸が痛くなった。

どうして…どうして…

「佐原君?」

「ん?あぁ、大丈夫だ。心配すんな」

俺は尾田に優しく頭をかきなでた。

「さ、そろそろ行こうか。学校に」

「はい。きっとみんな心配してます」

俺たちは再び自転車に乗りこんだ。


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『お前らどこに行ってたんだ!』

「スミマセン。」

…久しぶりにセンコーに謝ったりしたぜ…

センコーは何かと眉を寄せていたが、優しい顔になった。

『ま、佐原は久しぶりに謝ったからよしとしよう。』

「はぁ…尾田は…?」

『尾田は…』

チラッとセンコーは尾田を見つめた。

何かあるらしい。見るからにそうだと判断できる。

俺はすぐ許しが出た。でも尾田は一体…

落ち込んでいる。表情から分かる。

「もう…しませんから…」

「尾田…?」


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