世界は美しい…うん、きっと
「どうした?」

「いえ別に…気にしないでください」

…いや、そう言われるとますます気になるんだが…

「なに。あからさまに気にしてほしいですって表情してる」

「ほぇ…っ」

尾田は急いで自分の顔を隠す。

俺はそっと尾田に手を差し伸べた。

「あたし…」

「ん?」

「親に医者になれって言われているんです。」

「…へぇ…」

「親が医者なので…無理はないと思ってたんですが…やりたことも全部我慢して…友達だってつくらないで、必死に勉強して…自分がなんでこんなに勉強してるのかわからなくなって…」

「そんなに厳しいのか…」

「はい…でも今は…いや今日は田原君がいろんなところに連れて行ってくれたので…少し楽になりました。ありがとうございました」

ペコっとお辞儀をされ、「また明日」と去っていった。


…また田原って言われた!?…まぁいいか…

…「また明日」…か…

心がざわついた。なんでこんなに心が震えているのか、俺は知りもしなった。

尾田はどんな気持ちなんだろう。

もちろん友達とどっかに行ったり、家族と一緒に楽しく会話したりしたいはずなのに。

…それもできないなんて…

「絶対…間違ってる…」

綺麗な夕暮れに包まれている。

一人の教室で俺はボソっと呟いた。

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=pipipi pipipiメールが届きました=

な!?∑

…んだよ…携帯かよ…

受信中:東 箕風




…って…お前か…

…つか!バイブすんの忘れてた!!よかったぁ…センコーいなくて…


『はぁいーーーー!お迎えにあがりましたよーー!雅くーん♪』

今度はなんだ…と見上げると

「…うげ」

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