女子校の悩み。

グループデート当日。



遅刻したらおごらなきゃいけないというから、余裕を持って家を出ると、由鶴駅に集合時間の30分前についてしまった。



「あちゃー。早く来すぎた・・・。こんな時間に誰か来てるわけもないし・・・」



ちゃんと時間を考えてくれば良かったと後悔していると、目の端にあるものをとらえた。



「桐生・・・？」



駅の改札をすぐ出たところに置いてある古びた人魚の像に寄りかかっているのは、まぎれもなく桐生だった。




急いで駆け寄ると向こうも気づいたようで、人魚の像から背を離して、こちらに手を振っていた。



「あれ、早瀬、早いじゃん」



「あんたもね」



「だって、おごらされちゃたまんないと思って早めに家出たら、まだ誰もいねぇんだもん」



「あはっ、一緒だ」