プラスマイナス、
プロローグ
たとえばこの地球が秩序ならば、混沌はとめどなく生まれいずる人間で間違いはないだろう。
地球が人にもたらす幸も不幸もきっと平等で、熱帯地方にはオアシスを授けるし、海に囲まれたなら、魚という僕らに分け与えられる確かな命を恵んでくれる。
混沌は、それらを奪い合い
争い合う
醜い感情をもった人間なんだ。
平和な時間を過ごす今でも、どこかの誰かが、小さけれども争い事を起こしている。
醜い争いを見ているだけで反吐が出る。
僕は根っからの平和主義者だ。
ケンカなんてもってのほか。
よくケンカしてできた傷跡を「勝利の証しだ」とか「恋人を身を呈して守ったんだ」とか言って見せびらかすバカっぽい男もいるけど、笑っちゃうね。
親からもらった体をなんだと思ってるんだ。
自分の身も恋人も、力がなきゃ守れないなんて
そんな世の中まっぴらごめんだ。
だから僕は日々慎ましやかに生きることにした。
人と関わったらぶつかり合う。
信頼したら裏切られる。
だから僕は、自ら独りで過ごすことを決めたんだ。