プラスマイナス、


そう言った斎木さんの目が、また鋭く光った。

その目に威圧され、僕は「はい」と言わざるを得なかった。


「そっか。送ってあげられないけど、ごめんね?こんな時間に中学生をひとりで帰らすのは不本意なんだけど………まぁ、男の子だから大丈夫だよね」

「は、はい…。それじゃ、僕はこれで…」


斎木さんの目が恐ろしくて、一刻も早くその場を立ち去りたかった。

さっさと玄関に向かう途中、ふうちゃんに「まさくん」と呼び止められ、ふうちゃんと目線が合うようにしゃがんだ。


「な、なに?」

「ひろなお姉ちゃんの風邪が治ったらね、みんなで動物園に行こうって、みなとお姉ちゃんが言ってたの。
まさくんも、来てくれる?」


それを聞いたみなとさんが口を挟んできた。


「そーそー!明後日の日曜日あたりにさ。あの子、風邪引いてもすぐ治るから、明後日あたりならぶり返す心配もないと思うんだ。どうせだから、まさくんも一緒に行こうか。」


基本的に週末に予定なんて入っていないし、断る理由もないので承諾した。


< 101 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop