プラスマイナス、
そう言った斎木さんの目が、また鋭く光った。
その目に威圧され、僕は「はい」と言わざるを得なかった。
「そっか。送ってあげられないけど、ごめんね?こんな時間に中学生をひとりで帰らすのは不本意なんだけど………まぁ、男の子だから大丈夫だよね」
「は、はい…。それじゃ、僕はこれで…」
斎木さんの目が恐ろしくて、一刻も早くその場を立ち去りたかった。
さっさと玄関に向かう途中、ふうちゃんに「まさくん」と呼び止められ、ふうちゃんと目線が合うようにしゃがんだ。
「な、なに?」
「ひろなお姉ちゃんの風邪が治ったらね、みんなで動物園に行こうって、みなとお姉ちゃんが言ってたの。
まさくんも、来てくれる?」
それを聞いたみなとさんが口を挟んできた。
「そーそー!明後日の日曜日あたりにさ。あの子、風邪引いてもすぐ治るから、明後日あたりならぶり返す心配もないと思うんだ。どうせだから、まさくんも一緒に行こうか。」
基本的に週末に予定なんて入っていないし、断る理由もないので承諾した。