プラスマイナス、


そしてみなとさんはにっこりと笑い、いつもの荒々しい手つきで僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でて「じゃ、明後日の10時に孤児院でね」と言い残した。


廊下を歩いていくみんなの後ろ姿を見送りながら、そろそろ帰ろうと玄関に向き直った時、ふと違和感を感じて廊下を見直した。



「あ、れ…?」



みんなは玄関から少し離れた小さな扉の部屋に入っていく。


研修室ではない。

先ほど僕が開けようとしたら斎木さんに怒られた、アンティーク調の扉の部屋だ。



あの部屋になにかあるのか。

プラスィナーの力を見極めるためのなにかが。



「定義は性格だ」と言い切っていたので、てっきり心理テストやアンケートなのかと思った。


でもまぁ、僕には関係のないことだ。

とにかくあの中に、紘奈に匹敵するほどの力を持つプラスィナーがいることを願うのみだ。
ただでさえ人脈が少ないので、これがハズれたら後はない。

もしハズれたら、その時はその時だ。



とりあえずは一安心し、軽やかな気持ちで帰路を辿った。



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