プラスマイナス、
「高科さん、紘奈の過去についてはご存知ですか?」
「…以前に、紘奈から少し聞いたことがあります。まさ……吉岡くんと幼なじみだったけれど、両親の離婚で父方に引き取られ引っ越した、と…」
「引っ越したあとに、新しい母親ができたが忌み嫌われ追い出された……。そうですね?」
「えぇ」
「では、私と紘奈についてはご存知ですか?」
みなとは静かに首を横に振った。
斎木の口元が笑むように歪む。狂気じみていた。
「…私は、ある研究をしておりまして。それは世界の可能性を広げる、もしくは新たな世界を造り上げることを目的としております。」
「は…い…?」
突然飛躍した話に、みなとは首を傾げた。
「紘奈はとても明るい子です。それはもう底抜けに。高科さんもそれはご存知でしょう」
「はぁ…そりゃあ…」
「世界中の人間があの子のようだったら、争いも虐待もなく世界は平和だと、そう思いませんか?」
「あの………なにが言いたいんですか…?」