プラスマイナス、
“幼なじみ”
別れの前日だって何事もなく普通に一緒に遊んでたくせに、なにが幼なじみだ。
普通だったら、多少辛くても別れの日ぐらい挨拶するだろ。
母さん達だけに言って僕だけに言わないってなんだよ、ハブかよ。
つまり僕は、紘奈にとってその程度の存在でしかなくて、
事前に引っ越す事を知ってたら、もっとしたいことだってあったのに
“大好き”って、言いたかったのに、
なんで今更、飄々と現れるんだよ。
母さんが朝に紘奈の話を持ち出してたけど、まさか僕のクラスに転入なんて聞いてない…。
その後の授業なんて耳に入らなかったし、紘奈は“謎の美少女転入生”みたいな感じでよいしょされて、クラスメイトだけではなく他クラスの人達に囲まれているようだった。
僕をちらりと見る紘奈と何度か目が合ったけど無視をした。