プラスマイナス、
斎木がクククと笑う。
狂っているようなその姿と発言に吐き気がした。
「できるんですよ。争いも虐待もない、美しい世界が。」
「あの…なにを…」
「あの子は継母に忌み嫌われていた。何故だか知っていますか?
力があるからですよ。我々人間を遥かに超越した力。脳波から発せられる波動が他人に影響を及ぼすんです。時にはそれを具現化することだって可能なんです。無から有を作り出せる、プラスィナーの力で。」
危険な気がした。
ただならぬ雰囲気。この人は狂っている。
―――逃げなければ。
「き、貴重なお話ありがとうございます。世界を変えた暁にはまた招待してください」
みなとなりに精一杯の皮肉を吐いた。
席を立って子ども達の眠るベッドに向かう。
「起きて…起きて、みんな!」
子ども達の体を揺さぶったが起きる気配はなかった。
普段より少し夜更かししたぶん、眠りも深いようだった。