プラスマイナス、
斎木に腕を掴まれ、テーブル奥の壁に向かっている椅子に座らされた。
手足を固定され、頭にヘッドギアを被せられる。
「なに、するの…?や、やめて…!」
途端に映像が見える。
目は向かいの白い壁を見ているはずなのに、鮮明に映像が映る。
視界に関係なく、脳に直接映像を送り込まれていた。
「私と紘奈の日常、とやらを。」
みなとの脳の中で、悪夢が繰り広げられていた。
恐ろしい映像が鮮明に映し出される。
残酷、殺戮、残虐――
泣きながら悶えるみなとの横で、斎木が小さく呟いた。
「紘奈に毎日見させた映像です。これを見続けても尚、彼女は元気に生活している。それが、最強のプラスィナーなんです」
その呟きも、もはやみなとの耳に届かず、心が壊れる音だけが響いた。