プラスマイナス、
“なんだ、陰気臭い男だなー。紘奈が騒ぐからどんなイケメンかと思ったのに”
“まさくんは?一緒じゃないの?”
“みんなで動物園に行こうって、みなとお姉ちゃんが言ってたの。”
“どうせだから、まさくんも一緒に行こうか”
“まさくん、ひろなお姉ちゃんのだいじなひと……だから、ふーもまさくん、だいじ…”
フラッシュバックされる。
みんなの顔、みんなの声、みんなの―――
“死んじゃった。みんな。”
「ぁあああぁぁあぁあああー!!!!」
無意識のうちに絶叫していた。
それが自分の声に聞こえないほど、あまりに醜くて、
“まさくん”
耳の奥でこだまする、僕を呼ぶ声。
誰の声?
みなとさん?
ふーちゃん?
他の子たち?
わからない。
なにもわからない。
「ぼ、僕、知らなくて、紘奈を、ま、守りたくて……プラ、スィナー…を、探して、て…」
嗚咽にまみれてうまく言葉が紡げない。
紘奈は僕の上に座ったまま、微動だにしない。
それでも僕の言葉をしっかり聞き取ってくれた。