プラスマイナス、



“なんだ、陰気臭い男だなー。紘奈が騒ぐからどんなイケメンかと思ったのに”

“まさくんは?一緒じゃないの?”

“みんなで動物園に行こうって、みなとお姉ちゃんが言ってたの。”

“どうせだから、まさくんも一緒に行こうか”


“まさくん、ひろなお姉ちゃんのだいじなひと……だから、ふーもまさくん、だいじ…”





フラッシュバックされる。


みんなの顔、みんなの声、みんなの―――






“死んじゃった。みんな。”









「ぁあああぁぁあぁあああー!!!!」




無意識のうちに絶叫していた。

それが自分の声に聞こえないほど、あまりに醜くて、




“まさくん”






耳の奥でこだまする、僕を呼ぶ声。


誰の声?

みなとさん?
ふーちゃん?
他の子たち?



わからない。

なにもわからない。



「ぼ、僕、知らなくて、紘奈を、ま、守りたくて……プラ、スィナー…を、探して、て…」



嗚咽にまみれてうまく言葉が紡げない。

紘奈は僕の上に座ったまま、微動だにしない。

それでも僕の言葉をしっかり聞き取ってくれた。



< 116 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop