プラスマイナス、
創世
「来てくれて嬉しいよ、究極のプラスィナーさん」
ハートに訪れた紘奈を向かい入れたのは、同じクラスの男子だった。
誠斗が「彰」と呼んでいたという事しか知らず、フルネームは知らなかった。
紘奈は今、彰とふたりきりで「拷問室」にいた。
孤児院の仲間たちの心を壊し、殺した部屋を紘奈は以前からそう呼んでいた。
部屋の奥には例の椅子が壁に向かい鎮座している。
人間の汚い部分を凝縮したような映像を否応なしに見せられる席。
この部屋にいるだけで吐き気がしそうだった。
「あんたが来たってことは、誠斗はちゃんと計画通りやってくれたんだね」
彰がニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「まさくんを騙しただけじゃない。」
「ん?なにそれ、誠斗が“騙された”って言ったの?それを嘘だとは思わないんだ。俺らと誠斗がグルかもしれないじゃん」
紘奈は押し黙った。誠斗の心を読んだことを言えばいいのだけど、言えない理由があった。
やむなく紘奈は話を変えた。