プラスマイナス、
「あたしが月に力を飛ばせばいいんでしょう?」
「残念。もうその計画はおじゃんになったよ。」
予想外の返答に、紘奈は耳を疑った。
「え…?」
「あんたの存在は消える。新しい惑星をつくってね」
「ど、どういうこと?!惑星をつくるのは、マイナリーがいなきゃできないはずでしょ…?!」
「いるんだよ、俺は見つけたんだ。君にぴったりなマイナリーを」
「なにを…言っているの…」
考えてもいない事態に紘奈は混乱した。
マイナリーとして考えうるひとつの顔を思い浮かべたが、すぐに打ち消した。
―――彼が今、ここにいるわけがない。
「マイナリーとご対面する前に、ひとつ聞かせて。………あれは、どういうつもりだ?」
それがなにを指しているのかすぐにわかった。
「あなたの大好きな斎木さんの口癖でしょ?“鍵は、ひとつだけ”。」