プラスマイナス、
足早にハートに向かう。
早く行かなければ手遅れになってしまうかもしれない。
そう思って回りも見ずに走ってたはずなのに、視界の端で、前に紘奈と入った公園の中に見覚えのある人影を捉えて背筋が凍った。
今一番会いたくないのと同時に、会わなくてはならない人だ。
「やぁ、吉岡くん。君に会いたいと思っていたんだ」
「斎木…さん…」
ハートに紘奈といるものだと思っていた斎木さんが目の前にいて、気が動転していた。
心臓がドクドクと脈を打ち、危険信号を鳴らしている。
目にしていないはずの、ふーちゃん達の死体が脳裏に浮かんで戦慄した。
「み、みなとさん…たち、は…」
精一杯振り絞って出した声は、情けないほど震えていた。
「死んでしまったよ。彼女たちはただの人間だった」
「……っ!!」
あまりにあっさりと言いのけて、言葉が出なかった。
「しかし良い人材を寄越してくれた。おかげでこちらも大きなものを得たよ」