プラスマイナス、



思い返してみても、あの時僕は異常なほど怯えていた。

あの時だけじゃない。
僕はいつだって怯えていた。

教室、廊下、登下校だって。



「それまで身を潜めていた君の力は、あの叫びと共に覚醒したんだ」




みなとさん達の死で

僕は

力を手に入れた。



あまりにも非現実。

そんな力、これっぽっちだって欲しくなかったのに。


でも

それならば、紘奈だけでも、守らなければ。



「僕は、あんたの言いなりには、ならない…!」

「……君は、紘奈のことが好きなのか?」


答えなかった。

必要以上に言葉を交わして、弱点を突かれたら困るから。



「君が紘奈を好きな以上、望むと望まざるとに関わらず、俺に従うことになる」


「は……?」


「君と紘奈が結ばれれば、惑星が生まれる。しかし君たちはそれを望んでいない。
ならば、気持ちを殺すしかないんだ。その恋心を。」





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