プラスマイナス、
吹き飛ばされた体を持ち上げ、目にした吉岡誠斗の姿に、斎木は驚きを隠せなかった。
無意識のうちに力を具現化している。
負のエネルギーが蛇のように吉岡誠斗の体に渦巻いている。
つい数時間前に力を覚醒した者とは思えないほど、その力は強大だった。
脳には、目の前の少年が放出する負のエネルギーを痛いほど受信している。
斎木はかつて自分が研究を重ねてきた“ディラックの海”そのものを目の当たりにしていた。
ディラックの海は、負のエネルギーが敷き詰められている真空状態。
いわば、この地球やその他の惑星なども生み出した宇宙。
なにもないぶん、力を与えればなんでも生み出せる存在。
そこに、“無から有を作り出す”プラスィナーの力が加われば惑星をも生み出す。
しかし吉岡誠斗は、マイナリーにして“衝撃波”という現象を“生み出した”。