プラスマイナス、
定岡は不敵な笑みを浮かべながら紘奈を見つめた。
「定岡…くん…、なぜあなたが…」
「君には俺がどう映ってたのかな、紘奈サン?どうせ、単にモテることを鼻にかけた自信満々のアホっぽい男と思ってたんだろ?それは自分でも認めるよ。」
定岡の脳裏に、はね飛ばされた少女の体が思い浮かぶ。
自分を静かに歪ませていったあの場面が、どうしようもなく愛おしかった。
「昔、俺が引き起こしたある事件をきっかけに、俺は壊れてしまった。感情がバラバラになって、胸にどす黒いモノを背負って、それに蝕まれることに快感さえ得るようになってきた。」
背中にぞくり、と悪寒を感じた。
それは定岡の出すマイナリーの負のエネルギーか、それとも不気味に浮かべる笑みによるものなのか、紘奈にはわからなかった。