プラスマイナス、
「斎木さんは、もういない。だからこんなことやめよう、彰。」
彰は僕の唯一の級友だ。
クラスで独りの僕に、いつも構ってくれた。笑わせてくれた。
失いたくはなかった。
「へぇ…。誠斗がトシさんを消したんだ。さすが、最強のマイナリーはすげぇな。もう力をコントロールできるなんて」
「彰…?」
「俺は数年間訓練を重ねて、物体を動かす程度にしか力を使えないのに、昨日今日に覚醒した奴がトシさんを」
「おい、なぁ…彰…」
彰に恐る恐る伸ばした手を、思い切り振り払われた。
「うるさい!!俺がプラスィナーとして劣ってるって言いたいんだろ?!構うもんか!!俺は俺のやり方で、トシさんの夢を叶えるんだ!!!」
彰が定岡の腕をぐいっと引っ張り、僕の前に差し出した。
「マイナリーは二人もいらない。戦えよ。斎木紘奈を巡って、惑星の誕生を賭けて。」