プラスマイナス、
目の前にいる定岡の目には、もう殺気が宿っていた。
紘奈を自分のものにするならば、僕を殺すことも厭わないんだろう。
「まさくん…やめて……力を、使わないで…!」
紘奈の目に涙が溜まっている。
ごめん、ごめんね。
僕は君を守るためにここまで来たんだ。
君の望む結末をつくれない僕を、恨んでいいから。
紘奈がハッと目を見開いた。
僕の心を読んで、これから起きることに気が付いたんだろう。
「まさ…くん…」
そのあだ名、気に入ってるよ。
紘奈の目からほろり、とまた一筋、涙が流れた。