プラスマイナス、
昏睡状態だったときのことを覚えている。
どこまでも続く真っ暗闇。
誰もいない、なにもない。
なにも覚えていない。
ふと足元に、パズルを見つけた。
めちゃくちゃにはめられて、歪んだ絵を紡ぎだしている。
治さなくちゃ。
パズルを一度、すべてバラバラにして
1ピース1ピースを、丁寧に当てはめていく。
ぱちん、ぱちん。
すべてのピースを収め、紡ぎ出された絵は――――
“定岡くん”
“けいちゃん!”
“圭一”
声が聞こえる。
もうこんな時間か。起きなくちゃ。
その絵は、自分の顔だった。