プラスマイナス、
「簡単なことだよ」
紘奈が僕の体を見つめながら、強い口調で言った。
「マイナスとマイナスを掛けて、プラスが出来上がるんだよ。まさくんは、ひとりで惑星になる。」
「なっ……マイナスとマイナス…?!そんなこと、トシさんは言ってなかった!」
「当然でしょ。斎木さんには知る術もないよ。ただの人間の斎木さんには。」
これを知ることができたのは、僕がマイナリーを飛び越えてディラックの海の一部となったから。
完全なる負の存在になれたから。
彰は腰を抜かして僕を見上げていた。
まるで恐怖の魔王でも見るかのような目で。
「まさくん!!」