プラスマイナス、



そう言って、まさくんの姿は完全に消えた。


途端に、世界が閃光に包まれる。

眩しい光を、わたしは目を見開いて眺めた。



人類から惑星が生まれ、宇宙が再構築される。

衝撃によって一時的に崩れたディラックの海が、再び負のエネルギーで敷き詰められる。



この光は、紛れもない彼の存在そのものだ。




怯えて震えて縮こまっていた彼は今、こんなに大きく、美しい光を放つ。




光がゆっくり遠ざかり、世界はまた夜に戻る。




その夜空からはまだ彼の星は観測できないけれど


精一杯、彼にプラスの祈りを捧げる。




会いに行くよ。


絶対に会いに行くから、待っていて。





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