プラスマイナス、
もともとはまさくんの部屋だったはずのあたしの部屋も、以前見たものとはだいぶ違っていた。
翌日の学校にも、誰もまさくんを知っている人はいなかった。
定岡くんは、この世界でも昏睡状態で、あのあと病院に運搬され今もまだ眠っている。
目が覚めれば、もう心を壊すこともなく穏やかに過ごせるだろう。
山瀬くんも、プラスやマイナスのことをすべて忘れ、楽しく毎日を過ごしているようだ。
高科孤児院に顔を出すと、子供たちはいたものの知っている子は誰一人いなかった。
世界が変わっても、死んだ人が生き返ることはなく、弔われなかったいくつもの命があることに少し胸が痛んだ。
そしてあたしは毎日、祈る。
暖かい家族を与えてくれた
1日だって忘れもしない彼を、ひたすら想って。
また出逢える日を願いながら。