プラスマイナス、
エピローグ
今日はこの惑星が生誕1000年を迎え、盛大なパレードが行われていた。
僕はあまりそんなことに興味はない。
1000年を長い歴史というのはあくまで100年も生きられない僕たちの物差しで計ったことで、星にとっては一瞬に過ぎない。
だからといって、この惑星に興味がないわけではない。
自分でも不思議に思うほど、この星が愛しくてたまらないぐらいだ。
この平和でおだやかな世界に生まれたことを誇らしく思う。
けれど僕が気になるのは、この星が生まれるずっと前。
もちろんまだ生まれてから16年ほどしか経っていない僕が知るはずもないのだけれど、どこか胸の奥がざわつく。
はっきりとわかるわけではないが、誰かと約束をしたような気がする。
「そんな夢を見たんだろ」と言われればそれまでだが。
そして不思議なことに、僕の右手の人差し指には安っぽいリングがはまっている。
僕が産まれてきたときから手に握っていたらしい。