プラスマイナス、
プラスチック製の飾りを丈夫な糸に通した、本当に安っぽいリングだ。
飾りはもう掛けたりヒビが入っていたりとボロボロだが、不思議なことに糸だけは切れる様子もなくしっかりとしている。
相当古いものみたいに見えるが、それがどうして母のお腹から僕と一緒に出てきたのかはわからない。
でも僕はそれを捨てることは出来なかった。
「ねぇ来て!大変なの!」
賑やかなパレードの中、人ごみをかき分けて知り合いの少女が僕を呼んだ。
「あなたを探してる人が来てるの!」
なんだ、それは。
それのどこが大変なことなのだろうと思いながら彼女の手に引かれ、パレードの中心部に連れられた。
そこで目にしたのは、髪の長い女の子の後ろ姿。