プラスマイナス、
怒鳴り散らして逃げるように公園から出た。
拗ねただけの八つ当たりという自己嫌悪を振り切りたくてひたすら走った。
部屋に飛び込みベッドに顔を埋めて泣いた。
定岡の誘いを断って僕の手を引いた紘奈の行動は、現場を見ていた人は少ないものの、噂が一瞬で広まるに決まってる。
こういう時、目の敵にされるのはイケメン定岡でも美少女転入生でもなく、空気のように過ごす冴えない僕だ。
恐らく明日、教室中を埋め尽くしてるであろう僕に対する非難の嵐の想像と、振り切れなかった自己嫌悪に襲われて一晩中泣いていた。
今朝、このベッドから何も変わらない朝を感じた事自体がとても懐かしく感じる。
涙目の紘奈は、なかなか脳裏から離れてくれなかった。