プラスマイナス、
翌日
眩しい朝陽に照らされて、今日も億劫な朝がくる。
億劫だ。
いつもそう思ってたけど、今回は心から億劫だ。
目覚まし時計がいつも通りの不快な電子音で僕を呼びつける。
“まさくん”
電子音に重なって、紘奈の声が耳の奥で響く。
あぁ、本当は
ずっとそう呼ばれていたかったんだ。
幼稚園の頃から、ずっと思っていた。
呼ぶなとか言っちゃったのをほんの少しだけ後悔していた。
だって中学生にもなって“まさくん”はないだろ、“まさくん”は。
“まさくん”
あぁもうわかってるよ
僕が悪かったんだ、素直じゃない僕が。
だからこれ以上響かないでくれ、幻聴。