プラスマイナス、
「ちょっと、見てあれー」
「あれって噂の転校生と……隣の男子、誰?」
「なんであんな冴えない奴と歩いてんだ?」
「彼氏いるって話も少し聞いたけど、あいつなわけねーよな…」
学校が近付いてくるにつれ、僕らを見て囁く生徒の声が多くなっているのが聞こえた。
だから嫌だったんだ…と、うんざりしながら紘奈を見たら、本人にはそんな周りの声など聞こえてないらしく、きょとんとした顔で僕を見た。
「ち、ちょっと離れろよ…」
「ん?なんで?」
悪気の一切ない紘奈の顔を見たら理由を言う気も失せた。
せめて空気を読めるようになってくれないかな…。
「よっ!誠斗ー!」
「彰!」
助かった!これでさりげなく紘奈から離れられるかもしれない。
「昨日は驚いたぜー、まさか転校生と顔見知りなうえに親密な関係だったなんて」
「しっ、しんみ…!!」
一気に顔が熱くなった。
昨日紘奈は僕とは幼なじみとしか言ってないぞ!
これが恋バナ大好き中学生の噂の威力…