プラスマイナス、
「し、親密とかそんな…!」
「あーぁ、こんな可愛い子と幼なじみなんて羨ましいぜ」
恥ずかしさの中でやっとの出てきた言葉は、すぐに彰にかき消された。
いつものお気楽な調子で彰は紘奈の顔を覗き込む。
僕もふと紘奈を見ると、彰を威嚇した表情をしていた。
眉間にしわを寄せて、彰を少し睨みつけている。
仮に人見知りにしても度が過ぎる。
「紘奈…?」
「あぁ!そーいや、ナニ紘奈さんだっけ?」
紘奈の苗字?
確かに変わってるから、なかなか一発では覚えられないよな…。
“彰、指宿だよ、いぶすき”と教えてやろうと口を開いた瞬間、「確か…」と呟く彰の声が聞こえてきて、それを遮るように叫ぶ紘奈の声がした。
「待って!!」
彰が少し驚いた顔をして紘奈を見た。
「……なんでだよ?昨日も俺ら二人を抜いたホームルームでクラスみんなに自己紹介したんだろ?」
少し遅刻して教室に入ったら、10年前の幼なじみがいた。
幼なじみの名前は、指宿紘奈。
「なぁ、」
じゃあ今、目の前にいる彼女は、
「斎木紘奈、さん?」
だれ?