プラスマイナス、
公園
「はぁっ…は、…く、はぁ…」
動悸が治まらない。
昨日から走ってばかりだ。
運動なんか苦手なのに。
気が付くと、昨日の放課後に紘奈と寄り道した公園の前にいた。
こんな時間に制服でうろついていたら怪しまれる。
僕は咄嗟に公園の中に入った。
公園には大きなタコを象った滑り台があり、滑り台をあがると頂上はタコの頭部に位置し、滑る斜面はタコ足をイメージして作られている。
タコの頭部の中に入ってしまえばある程度姿は消せる。
僕は滑り台を上り、頂上で三角座りをした。
そういえば、この公園は昔紘奈ともよく遊んだ。
滑り台の斜面のタコ足はすべてオブジェとなっていて、よくそこをよじ登ったりした。
今更そんなこと思い出したって、もうなんにもない。
だって、再会したと思った幼なじみは、本物ではなかった。
“偽者”って言い方も少し変だけど。