プラスマイナス、
天真爛漫のようで、かなりハードな人生歩んでるんだな…。
離婚とか追い出されたとか、逃げ出したりとか…
子供という一般的に守られる存在が、そんな思い切った行動に出れるなんて
まぁそれもこの天真爛漫っぷりからなんだろうけれど
「名前の話以上!質問ある?」
「…ごめん」
「ん?」
「そんな状況になってたなんて、知らなかった…。離婚とか孤児院とか…。引っ越しも、なにも言わずにいなくなったから、僕、き、嫌われたんだと…おも…」
視界が歪んできて、呂律が回らなくなる。
彼女に比べて、僕の抱えていたものがどれだけちっぽけなものだったかを思い知らされた。
家族がいて、友達がいて、居場所がある。
いつもこんな当たり前の喜びを感じていたのに、たったひとつの出来事で拗ねたりして。
ヤバい、泣きそうだ。
でも紘奈はそんな僕を見て笑いかけた。
「嫌うだなんてやだなぁ。あたしたちの仲でしょ?それにあたしだって、まさくんとちゃんとお別れしたかったもん。」
「…!」
こんな一言だけで、不思議と涙は引いていき、口元が綻んだ。
単純に嬉しかった。
10年間のわかだまりが、ゆっくりと溶けていった。