プラスマイナス、
玄関からエプロンをした20代半ばほどの女性が出てきた。
「ただいまじゃないだろ!拾ってくれた人から逃げて、今度は学校も逃げたってのかい?」
「ごめんなさい~!でもでも緊急事態だったんだよぉ~!」
先ほどの斎木さんとのやりとりから打って変わって、とても楽しそうに会話してるのが見えた。
ほんと、紘奈と斎木さんの関係ってなんなんだ…
「あ、まさくん。こちら高科孤児院の院長さんの、高科みなとさん。」
「どーも、みなとです。あんたが噂のまさくん?」
「あ…どうも、吉岡誠斗です…。初めまっ…!」
軽く頭を下げて会釈すると、そのまま後頭部を掴まれ、体を90度に折られて会釈どころかおじぎをさせられた。
極めつけにぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でられた。
「なんだ、陰気臭い男だなー。紘奈が騒ぐからどんなイケメンかと思ったのに」
「ちょ、ちょっと!やめてあげてみなとさん!」
大人のくせしてなんて失礼な人だ…