プラスマイナス、
医務室に着いても、子ども達の騒ぎようは聞こえてきた。
端々から“まさくん”という言葉が聞こえてるから、僕の話題で間違いはないだろう。
「ご…ごめんね?」
紘奈が恐る恐る言った。
あきれかえって怒る気にもなれない。
「どんだけ僕の話してるんだよ…」
「だ、だって孤児院のみんなにはあたしの事知ってほしいし…」
「だからってどうして僕の名前が出てくるんだよ!」
「だってまさくんはかけがえのない幼なじみだもん…。嫌だった?」
なんで紘奈はこうこっぱずかしい事を恥ずかしげもなく口にできるんだろう…
本当に尊敬する…
「みんな、血の繋がった家族がいないから、血の繋がりより強い絆をつくりたいの。だからみんなの知らないあたしのことを、ひとつも漏らさずに知ってもらいたいんだ」
「ふーん…」
そう言った紘奈の目はとてもキラキラしていた。