プラスマイナス、
教室
『噂、拡大してるぜ。美少女転入生、例のダサ男とサボって密会、なんてな』
昨晩彰から聞かされたクラスの状況に僕は絶望した。
僕が彰たちから逃げ出したのは、学校から目と鼻の先ほどの距離なので現場を見た生徒も少なくはないだろうに、なぜここまで脚色されるんだ。
そして仮にも友人に『ダサ男』なんて、的確に情報を伝えすぎではないだろうか、彰。
まぁ少し驚きもしたが、中学生の噂好きの力は十分に知っている。まだかろうじて範囲内だ。
問題は定岡だ。
あのイケメン定岡がフラれたんだ。きっとクラス全員に僕を排除するよう手を回すだろう。
情報をくれた彰もコロッと定岡側についてもおかしくない。彰は誰とでも仲がいいぶん、特別誰かに固執しないのだから。
学校行きたくない…
「まさくーん!おっきろー!」
例のごとく迎えに来た紘奈の挨拶とともに毛布を剥ぎ取られ、おかげでやっぱり僕の目覚めは最悪だった。