プラスマイナス、
静寂は聞こえてこなかった。
教室はいつもどおり生徒たちの会話で盛り上がっていて、僕はそっと目を開いた。
クラスメイトは特に僕に目を向けているわけでもなく、それぞれホームルームまでの時間を楽しんでいる。
いや、逆に僕をいないものとして完全にシカトするつもりなのかもしれない。
「ど、どうしたの?」
紘奈は心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
我に返り、紘奈を振り切って足早に自分の席に着いた。
定岡がいない。
周りを見渡すと、一番恐れていた定岡が見当たらなかった。
まぁ定岡がいない事自体は、普段からサボってることから全く不思議ではないけれど、昨日の今日だからてっきり僕を潰しにかかると思っていた。
まさか紘奈にフラれてショックで休み…とかそんなわけないよなぁ…
その日は少しビクビクしながら、クラスメイトに特にシカトされることもなく無事1日の授業を終えた。