プラスマイナス、
「なにしてるの?」
知らない少女の声が俊英の耳に聞こえてきた。
顔をあげると、ニコニコと笑った少女が俊英を見ている。
「ひとりなの?」
「あぁ…ひとりだ」
まさか20を過ぎてから、こんな幼い少女に声を掛けられるとは思っても見なかった。
「あたしと一緒だねっ!」
少女は尚も笑って言った。
俊英は不思議と、胸の内が暖かくなる感覚がした。
「新しいお母さんはあたしが普通じゃないから嫌いだって、だからいらないって、」
その言葉を聞いて確信した。
根拠は、俊英の胸の暖かさで十分だった。
この子どもにはなにか力がある。
普通じゃない力。
俊英は身寄りのないその子どもを連れて帰った。