プラスマイナス、
ふと、紘奈と孤児院のみんなを思い出した。
幸せになる権利を持つ幼い彼女たちが、あの場所で傷を舐め合いながら寄り添って生きているのは、
世界が均衡を保つためでしかないの…?
「俺はプラスィナーを集め、世界の“ゼロ”と、人間の“プラス”をごった返す」
斎木さんの目は真に迫っていた。
「“ゼロ”に“プラス”する」
その瞳の奥には、今までなにを見てきたのか不思議に思った。
「でも変えるって、どうやって…?」
「プラスィナーからは特殊な脳波を放出している。その脳波な他人に良い影響を及ぼす。その脳波をかき集め、月に飛ばすんだ。」
「つっ…?!」
月?!
月って、空に浮かぶ夜に光るあの月…?!
そもそも、なんで月…?
僕は斎木さんの次の言葉をドキドキしながら待った。