プラスマイナス、
団体
翌朝、珍しく紘奈から起こされなかった。
寝坊かなにかかと思い居間に向かうと、うちのソファに紘奈が横になって毛布をかけて寝ていた。
「……え?」
「おはよう誠斗。紘奈ちゃんね、風邪引いちゃったから学校休みって言っておいて」
紘奈の顔は真っ赤に火照り、息苦しそうだ。
「ほら、紘奈ちゃん今子供がたくさんいる孤児院暮らしでしょ?子供に移すとよくないから、うちで看病するのよ」
母さんも紘奈が孤児院暮らしって知ってたのか。
色々聞きたいことも多かったけど、紘奈がこんな調子じゃ仕方がない。
そもそも紘奈は、僕が斎木さんと話したってことを知ったら、嫌悪感を抱かないだろうか。
まぁ「近寄るな」とか言われたわけでもないし、別に大丈夫か。
紘奈の体調が良くなったら、改めて聞いてみよう。
あの説明じゃわからないことが多すぎる。
僕は久々にひとりで学校に向かった。