プラスマイナス、
「誠斗ー!」
「彰、おはよう」
「数学の宿題やっただろ?あとで見せてくれよー」
「またかよー、今回までだからな?」
恩を売れば、なんらかの形で返ってくるのは世界の理だからね。
――“鍵”は、すぐそこ。
「…彰、なんか言った?」
「は?だから“数学の尾田はいつも俺を当てるよな”って、」
「いや、そうじゃなくて」
「なに言ってんだよ、それ以外言ってないぜ?話聞いてなかったのかよ」
空耳?
鍵とか聞こえた気がするけど、気のせいか…。
まぁ学生の多い通学路だから、どっかの誰かが家の鍵でもなくしたのかな。
でも、心なしか視線を感じるのは、なんでだろう。
振り返って確認しようとしたら、彰は引っ張り、そう遠くない校門を指差した。
「ちょ、誠斗見ろよあれ!あの高級っぽいでかい車から尾田が降りたぞ!あれ尾田の車かな、傷付けに行こうぜ!」
「や、やめっ…僕を巻き込むなー!!」
目をきらきらと輝かせ、日頃の恨みを晴らすと言わんばかりに楽しそうな彰に引っ張られ、校門まで走った。
「まさくん、見つけた。」