プラスマイナス、
「ま、転入生がいないお陰でお前とも久々に学校行けるし、いっか」
彰は僕を見てニカッと笑い言った。
よくもまぁ思ってもいないことを…
しかし不思議と悪い気はしない。
「紘奈がいないから俺と学校行けるって………彰は紘奈にあんまり興味ないんだな」
「んー、ある意味興味はあるけど。俺は女にうつつを抜かしてるほど暇じゃないしな」
「まさかホ…」
「誤解すんな!男との恋愛はまあぁったく興味ねーから!」
まぁそんなこととっくに知ってるけど。
でも、事実教室内で彰と紘奈が関わってるのは見たことがない。
みんな好奇心で紘奈に群がるのに、彰だけ興味を示さない。
関わってるといえば、僕と紘奈が登校中に彰が声をかけてきた時だ。
紘奈の苗字が「指宿」ではなく、「斎木」になっていて、驚きのあまり学校をサボってしまった日。
“やめて!!”
そういえばあの日のあの時、紘奈が彰にそう叫んでいた。