プラスマイナス、
「ここって…」
「俺の大事な場所だ」
市が経営する体育館ほどの大きさの建物の前まで連れてこられた。
白く塗られた建物は、三角屋根でもないのに教会に似ている気がする。
玄関の上に掲げられた看板には、「世界改革団体ハート」と書かれている。
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あの数式が蘇った。
「彰っ、知ってんのか!?あの…プラスとか、マイナスとか…!」
「あ?なにお前、知ってんの?なら話はえぇや」
そう言うと彰は僕を引っ張り建物の中に引っ張り込んだ。
正直心の準備が欲しかったけれど、彰は有無を言わさず、まるで家に招待するような気軽さで入れられた。
玄関は学校と同じく靴を脱ぎ、館内はスリッパで歩き回るのが規定らしい。
玄関を抜けるといくつかドアがあり、彰は真っ直ぐ前にある一番大きなドアを開けて入った。