プラスマイナス、




恐らく大広間であるその空間は木造でできてある、まさに体育館そのもので、老若男女問わずたくさんの人が10列近くに並んでいる。


大広間の一番奥にひとり佇んでその列を眺めているのは間違いなく斎木さんで、その光景が宗教を連想させ鳥肌が立った。




「あ、彰…、これ…」

「だーいじょうぶ、怖がるようなもんじゃねーから。トシさーん!!」



彰の声に気付き、斎木さんがこちらに向かって歩いてきた。



「吉岡くん、来てくれたのか」

「えっ、なにお前、トシさんと知り合いなの?!」

「あ、えっと……、まぁ…」



彰が興味津々な顔をして僕を見るけど、説明する術がない。


紘奈の親戚と僕が知り合いってのも変な話だ。



「せっかく来てくれたのに悪いが、今少し取り込んでてな。悪いが山瀬、吉岡くんと研修室で待機しててくれないか。軽い研修もしてくれると助かる。」



え…


研修?



これもう宗教に入れられたってこと?




「了解でーっす!」



ノリノリな彰に引っ張られ、僕は呆然としながら大広間を出て、いくつかの扉の中で、一番こぢんまりとした扉を開けた。




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