プラスマイナス、
部屋には長机と5脚のパイプ椅子、そして大きなホワイトボードがあった。
「ほら、座れよ」
彰が椅子に腰を掛け、僕も恐る恐る椅子に座った。
「あ、あの…ここ…」
「ん?どした?」
「研修…って、僕ここに入ったことになるの…?」
「あぁ、大丈夫大丈夫!一応表向き1日体験入団ってことになるから!」
表向き……?
どういうことだろう
「まぁそう固くなるなって。相手はクラスメイトの俺なんだから。」
彰の言葉に少しだけ緊張がほぐれた。
「んで、お前はトシさんからどこまで聞いてんの?」
「えーっと…プラスとかマイナスで世界が変わる、とか、紘奈がすごいプラスの人間だとか…」
ひとつひとつ思い出しながら口にした途端、彰が突然勢いよく立ち上がったので僕は反射的にビクッと体が跳ねた。
彰は僕をまんまるく開いた目で見て呆然としている。
やがて彰は力なく笑いながら椅子に座り直した。
「なるほど。トシさんと誠斗はそういう繋がりか。まさかもうそこまで知ってるとは思わなかったなぁー」