プラスマイナス、
第三章
惑星
彰からアニメのような話を聞かされて、まともに脳が働かなかった。
「誠斗?おーい、どうしたんだよー」
科学の皮を被ったファンタジーだ。
こんなの僕の日常じゃない。
「あ、もしかしてお前疑ってる~?確かに俺は下っ端だけど、宿題ほったらかすぐらいには日夜特訓してんだぜっ」
ふと彰に目をやると、右手で自分のおでこを軽くデコピンしだした。
訓練ってまさかデコピン?
「……なにふざけてんの」
「いーから見てろって!」
彰はそのままデコピンした右手を前に伸ばす。
その先にはなにも書かれていないホワイトボード、桟には黒と赤と青の水性ペンが数本、そしてボード消しが置いてあった。
なにをしているんだろうと思った矢先、置かれてある黒の水性ペンの1本がカタンと音を立てた。
目を凝らして見てみると、その1本はかすかに震えている。
一瞬地震がきたかと身震いしたけど、ホワイトボードはびくともしてない。
僕は目を疑った。
まるでペンがひとりでに動いてるようで。