プラスマイナス、
その瞬間、そのペンは桟を離れて彰が伸ばした右手に吸い込まれるように飛んできた。
彰はそのまま右手で飛んできたペンをキャッチし、僕を見て「どぉーだっ!」とふんぞり返った。
「なかなか便利だろ?」
「………超能力、みたい…」
「まぁ超能力とあんま変わんないな。スプーン曲げも透視もできる人はいるし。」
「す…すご…」
でも彰の表情はどこか暗かった。
「俺は全力でペン1本ぐらいだけど、転入生だったらホワイトボードごと引き寄せるのも簡単にできるって、トシさんが言ってたんだ」
そう呟きながら、ペンを持った右手を見つめている。
彰は多分、斎木さんに認められたいんだろう。
紘奈しか頭にない斎木さんに、気付いてほしいんだ。
「で、プラスィナーの俺になんか質問でもないかい誠斗クン?トシさんが来るまで、なんっでも答えてやんぜっ。あ、ちなみに今の力の仕組みとかは無しだぞ。タネも仕掛けもねーから説明しようがねーんだわ」