プラスマイナス、
結局彰の恨みは晴らされることはなかったが、あまりにも派手すぎる行動力で目的はしっかりと教員らにバレてしまったため、僕らふたりは朝のHRの時間を返上して説教を受けてしまった。
「おまえのせいだ」
「悪いって!しかし尾田も今時正座させて説教なんて考えが古くせぇよなぁー」
そんな捨て台詞も、痺れた両脚をぷるぷる震えながら言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
泣きそうなぐらい足の痺れが痛い。
「これで今日の数学は俺に当たること間違いなしだな!あとで宿題写させろよ」
「やだ。気が変わった」
「なんでだよぉー」
彰を無視して、痺れのとれない脚でひょこひょこと教室へ向かった。
まぁ説教されたことは予想外だったが、こんな出来事もなんてことのない学生生活の一部に過ぎなくて、今日もとても穏やかで変わり映えのしない1日が始まるのだ。
平和でいいんだ。
親がいて、友達がいて、居場所がある。
それは身近なようで、とても尊く儚い。
教室の引き戸を引くと、同時に声が聞こえた。
「まさくん!」