プラスマイナス、
途端に扉が開く音がした。
「悪い、遅くなったな」
「あ、トシさん」
彰はにこにこと笑って斎木さんを招き入れた。
彰は、紘奈とマイナリーが結ばれたら、その2人の存在が消えてなくなると知ってるんだろうか
知ってて、そんなににこにこ笑えるんだろうか。
斎木さんの理想郷を叶えるために、知ってる人が消えても構わないと、思ってるのか。
変わらずににこにこと笑い続ける彰に、今まで感じたことのない恐ろしさが見えた気がした。
不意に彰が僕の方を向き、逃げ出したくなったけど体が動かなかった。
彰はゆっくりと僕に近づき、耳元に口を寄せこっそりと囁いた。
「さっきのマイナリーの話は斎木さんに秘密な。マイナリーを最強にして驚かす計画なんだ」