プラスマイナス、
途端にこの部屋が牢獄に見えた。
ここは斎木さんの理想を叶えるための監獄。
そこらの宗教よりも、よっぽどタチが悪い。
震え出す僕をなだめるために、彰が心配そうに顔を覗き込みながら背中をさすってくれた。
でもそんなことで僕の不安を払拭しきれるわけがなかった。
「確か昨日も、この話にひどく突っかかってきたな。ようするに君は、惑星をつくることで紘奈が消えるのが納得できないんだな。」
斎木さんの問いに俯いたままゆっくりと頷いた。
当たり前だ。
見殺しになんかできるもんか。
「ならば、お前がありったけのプラスィナーをかき集めろ。」
「……は…?」
思わず顔をあげた。
斎木さんは鋭い目つきで僕を見下ろしていた。
「プラスィナーの放出する脳波を月に飛ばす話は少ししたな。我々が脳波を力に変換する。それを月に飛ばし、尚且つ世界に影響を与えられるほどのプラスィナーを集めろ。」